独立・起業とは無縁だった学生時代。
幼少のころから活発な方だったとは思います。大学時代はアルバイトと旅行に明け暮れていました。ヨーロッパを2ヶ月間かけて旅行するなど、自分で企画して実行する事が好きでした。ただ、独立や起業とは無縁でしたね。飲み会で「将来居酒屋でもやりたいね」なんて仲間と話していたものの、新卒で入社したのは大手のシステムインテグレーター。選考理由も、これからはITの時代だろうとボンヤリとしたものでした。
就職先は超大手。それでも自分は歯車の一部。
就職先は超がつく大手のシステムインテグレーター。親は喜んでいましたが、実際の仕事は大きな歯車の一部で自分にとっては極めて退屈なものでした。国の電子申請システム開発を担っていたのですが、「これは本当に活用されるのだろうか」と疑問を持っていました。実際、そのシステムが稼働すると、リリース初日の利用者は僅か10名にも満たないといった有様でした。システムが使われなくても会社は国からの開発費で儲かっていたのだと思いますが、私個人としてはモチベーションが長続きせず1年半で退職しました。
その次に選んだのが、これも誰でも知っている情報系の企業です。20代の内に営業力を磨いておいた方が良いと思い、その企業に絞って転職活動して転職しました。飲食系の情報誌に携わっていたのですが、多くの飲食店経営者にお会いする中で「飲食なら自分でもできるかな」と感じるようになりました。当時、上司が3人入れ替わったのですが、最後の上司と反りが合わず「独立するなら今だな」と決断したのです。
会社員でもなく、起業でもなく、フランチャイズで独立。
当時20代後半でしたが「会社員は自分に向いていない」と薄々感づいていました。かといって一念発起でゼロからの起業もアイデアやノウハウがなくて考えられない。それで選んだのが、低リスクで自由度の高いフランチャイズへの加盟です。
周囲は驚いていましたが、自分としては何の違和感もなく最適な選択でした。独立する業界は色々検討した結果「高齢者配食サービス」に。学生時代に飲食業のアルバイト経験があり親近感があったのと、シニア市場の成長性を感じていましたので自分の直感に賭けました。
自己資金60万円。資金を周囲からかき集めてのスタート。
お金はなかったですね(笑)。いわゆる普通の会社員でしたから手元にあったのは60万円。親や友人からお金を借りてのスタートでした。初めは資金面で苦労しましたが、事業は順調そのものでした。市場がものすごい勢いで伸びていますので、頑張れば頑張った分、目に見えて売上げが上がり「自分で自由にできる仕事はやっぱり面白い」と感じていました。
一方で「当初の話と少し違うぞ」「なんでこれはダメなんだろう」「本部の社長の考え方が全く伝わってこない」と本部との信用関係に疑問を持つようになり、それならいっそのこと自分でフランチャイズ本部を立ち上げた方が良いのではないかと思うようになりました。
2012年、改めてイチからのスタート。
少しだけ配食事業のポイントをお話しすると、安心・安全な食材を選び、食材を大量に調理・加工するのは簡単にはありません。もちろん自社だけではできませんから、食材の供給元(工場)との信頼関係が非常に重要になります。
私はフランチャイズ加盟店の時からここに注目してパイプを築いてきました。自分で立ち上げようと思った時にはこのパイプがあればフランチャイズ本部としてより良いモデルが構築できると確信を持っていました。改めてイチからのスタートとなりましたが、この食材の供給元があれば後は「加盟オーナーがいかに幸せに運営できるか」に注力すれば良かったのです。
本部の無駄を省いてオーナーさんが発展していくモデル。
まずは本部を少人数で回せるようにし、本部運営にお金を掛けないことを徹底しました。そして、個人のオーナーさんが低資金で独立開業できるようなモデルを構築し、年間出店数も無理に追うことはしませんでした。10店舗、20店舗の時にはまだまだ未整備で正直苦しかったです。
ですが初心を忘れず現場オーナーさんの意見にしっかり耳を傾け、すぐに改善できる点はどんどん改善していきました。私にはシステムエンジニアの経験もありますので、ITツールなどは早期に導入し、オーナーさんの声をWEB上で集めることもできました。
とにかく人と人の信頼関係を大事にしたい。
この6年間で全国150店舗まで広がり、ツールも完璧とは言いませんがベターなものが揃いました。なんとなく描いていた出店ペースでここまで成長することができましたので、一定のラインには到達しているかと思います。
繰り返しになりますが、私が何より大事にしてきたのが、人と人の信頼関係。説明会でもお互いが納得するまでお話しし、無理な勧誘などは一切しません。オーナーさんと真摯に向き合いたいと思っています。元々ガツガツ営業するのが苦手なんですが、あるオーナーさんは私たちがあまりにも後追いの営業をしないので、しびれを切らして「やろうと思っているんですが…」なんていう連絡もありました(笑)。
飲食業からサービス業に。
これからこの業界も変わっていくと思います。より選別される時代です。私がよく話しているのは、このビジネスは飲食ではなく、介護サービスの延長線上にあるという考えです。高齢者の安否確認・見守りサービスなどが付加価値になってくるでしょう。実際、地域に根差して活躍されているオーナーさんは、家族の代わりに安否確認を行ったり、お弁当をレンジで温めてあげたりと、お客様に寄り添うことで選ばれています。
同時に本部では高齢者のインサイトにも向き合っています。これまで高齢者の食事は「味が薄い」「細かい・小さい」「柔らかい」と前提がありましたが、今は元気な方も多く、現状維持が喜ばれるとは限りません。もっと満足感を出すように工夫し栄養価も少し高めにしています。グランフーズではリアルな声を基に管理栄養士が常に満足度の高いお弁当を開発し続けています。
青天井のこの業界で、信頼できる仲間と成長していく。
法人への配食、保育園・幼稚園への配食、食材の卸というラインナップも考え、加盟店のビジネス機会を今後ますます広げていきます。オーナーさんには事業規模を広げて1店舗での収益を拡大していただきたいと考えています。
これから新しくオーナーになる方も従来通りのやり方だけではなく、新しいチャレンジをしていただきたいと思います。説明会では基本的に私が全てお話しします。ビジネスモデル、本部のスタンスをしっかり確認してください。本音で語り合いますしょう。気取らずに本音でお付き合いできる仲間と成長していきたいと願っています。