思いやりが一番大切!25歳で高齢者向け配食サービス「ライフデリ」に加盟した理由

25歳という若さで高齢者向け配食サービス「ライフデリ」に加盟した藁品(わらしな)オーナー。利用者に寄り添ったサービスで配食数を伸ばしている一方で、オープン前は「競合がいたので不安だった」と振り返ります。競合がひしめくエリアでも「ライフデリ焼津店」が選ばれるわけとは。独立した経緯やライフデリを選んだ決め手とともにお話します。(インタビュー:フランチャイズWEBリポート)

大学時代から考えていた独立を叶えるための準備期間

金型部品などを扱う会社で働いていた当時の藁品オーナー

高齢化が進んでいるとはいえ、高齢者への配食サービスの需要があるか分からない。ましてや、「すでに競合がしのぎを削っているエリアで開業するなんてリスクが高すぎる」このストーリーを読んでいる方のなかには、こう考えている方も多いのではないでしょうか。2018年2月に「ライフデリ焼津店」をオープンさせた藁品(わらしな)オーナーもその1人でした。

藁品オーナー
競合がすでにいたので開業前は不安だらけでしたが、ライフデリのお弁当は利用者さんからも『おいしい』と評判です。それでいて他社よりも値段が安いので、競合がいても配食数は順調に右肩上がり。4月に焼津市から指定配食業者として認可されたときは、食数が一気に3倍以上に増えました。めちゃくちゃ需要を感じていますね。

27歳の若き経営者として活躍する藁品オーナーですが、大学を卒業後は、地元静岡で自動車関連の金型部品などを扱う会社に入社します。しかし、自身が求めていた業務を担当することができず、1年2ヶ月で退社。その後は、独立することを視野にリクルートの営業として歩むことになるのです。

藁品オーナー
大学生のころから独立したいと思っていたんですが、具体的には考えてなくて……。新卒で入社した会社で希望する業務ができなかったので、やりたいことをやるなら独立するしかないと思ったんです。なので、まずは社長やオーナーなどと会っていろいろ学ばせてもらうため、タウンワークの営業としてリクルートに転職しました。営業にいっても人材の話とかはほとんどしないで、社長や会社の話ばかり聞いていましたね(笑)

売り上げを積み重ねやすそうな業態で勝負したい

タウンワークの営業時代は、仕事そっちのけで社長から話を聞いて独立への下準備をしていた。

独立の下準備として、経営について学んだり事業のヒントを得たりと、営業としての仕事そっちのけで情報収集に勤しんだ藁品オーナー。しかし、それがフランチャイズで独立するきっかけになるとは、当時の彼は知る由もありません。

藁品オーナー
営業先の半分くらいはフランチャイズオーナーさん。未経験で加盟した方がほとんどで、逆にオリジナルで事業をしてる方は10年くらい下積みをした上で起業している方が多かったですね。それでは遠回りだと思ったので、転職して1年後くらいには『フランチャイズで独立したい!』と考えてました。ただ、フランチャイズに対して必ずしもポジティブなイメージを抱いていたわけではなく……。フランチャイズ本部に搾取されているオーナーさんもたくさん見てきたので、加盟するチェーンをちゃんと選ばないといけないな、と。

タウンワークの営業として2年ほど勤めたのち、退職することを決意。大学生のころから夢見ていた「独立」へと本格的に準備を進めていったのです。

藁品オーナー
タウンワークの営業もそうですが、1件の契約を獲得するのに時間がかかるのは避けたいな、と。そこで、毎日消費するものを扱いたいと考え、衣食住のなかから『食』に絞りました。人間にとって食べるのは当たり前のことですからね。単純な考えかもしれませんが、コツコツと売り上げを積み重ねられる業態で勝負しようと考えました。

普段から利用する機会が多く、独立後のイメージのしやすさもあり、飲食店で開業しようとする検討者が多いのも事実です。とはいえ、多くの飲食業態が乱立するフランチャイズ業界。一口に「食」と言っても、扱う食材はもちろん、店舗の有無によってもバリエーションはかなりのもの。藁品オーナーは、さまざまな飲食系フランチャイズチェーンに資料請求をし、最終的には3つに絞ったといいます。

いったい、どのような理由で「ライフデリ」への加盟を決意したのでしょうか。

開業資金を抑えられ、将来性のあるライフデリで独立

飲食のフランチャイズのなかから配食サービスを選んだ藁品オーナー

藁品オーナー
選択肢が多くてかなり悩みました。最終的に3つの業態に絞ったんですが、なかでも、食パンを専門に扱うフランチャイズは最後まで悩み、名古屋で1ヶ月ほど研修もしました。確かに、名古屋では常に混雑しているほど売れてたんですが、買いに来るお客さんは高級車に乗った富裕層ばかり。個人的な見解ですが、地元の静岡で1個300円や400円もする食パン専門店を開業しても、名古屋と同じようには売れないかな、と。

そうして、長い間悩んだ挙句、食パン専門店のフランチャイズに加盟することはなかったという藁品オーナー。もうひとつ彼が悩んでいた業態がオムライスの専門店です。しかし、これもある理由により選択肢から排除されていくのです。

藁品オーナー
ここも説明会に足を運びました。調理をしている動画を見させていただいたんですが、開業後は自分も現場に入るつもりでいたので、飲食未経験には難しいと判断しました。というのも、オムライスを作るときの卵を包むスピードなどが、職人技だな、と。加盟してもこのレベルまで到達するのは難しいと思ったんです。

そして、3つの業態に絞ったなかから、最終的に加盟を決意したのが高齢者配食サービスの「ライフデリ」でした。当時まだ25歳の彼が、数ある業態のなかから高齢者への配食サービスに絞ったのには理由がありました。

藁品オーナー
まずは、初期投資が安くて、低リスクで開業できること。食パンの専門店は2000万円で、オムライスの専門店は1500万円かかると言われました。一方、ライフデリは加盟金も保証金も0円なので、圧倒的に資金を抑えて開業できました。そして、高齢者を対象とした事業なので、人のためにもなるし、高齢化が進むことを考えたら将来性もあるな、と。

とはいえ、高齢者への配食サービスを展開するフランチャイズチェーンは、なにも「ライフデリ」だけではありません。ほかにも複数のフランチャイズチェーンが配食サービスを展開しています。

藁品オーナー
もちろん、ほかの配食サービスも検討しました。なかでもライフデリは、加盟前にしつこく電話で質問をしても、毎回ていねいに答えてくれたんですよ。分からないことがあったらその都度電話で確認をして、答えにくい質問もあったと思いますが、無下に対応されることはありませんでした。加盟する前だけでも、100回くらいは電話したんじゃないですかね(笑)あと、ほかのチェーンはすでにエリアが埋まってたり、加盟店同士に客の取り合いをさせているような本部があったりと、不信感を抱いたっていうのもあります。

思いやりを大切にすることで、利用者に選んでもらえる配食サービスに

利用者に寄り添ったサービスを徹底しているという藁品オーナー

そうして、ライフデリへの加盟を決意した藁品オーナー。開業した焼津エリアは、すでに複数の競合が肩を並べていることから、不安もあったといいます。しかし、2018年2月のオープン早々、幸先の良いスタートを切ることに成功するのです。

藁品オーナー
オープン前にケアマネさんにあいさつ回りをしていたのも功を奏して、2月の時点で250食、3月には500食弱まで注文数が伸びました。そして、4月に焼津市から指定配食サービス業者に認可されると、爆発的に伸びて1600食くらいまで一気に増えたんです。いずれも、オープン前に予想していた配食数をはるかに上回りました。

ちなみに、市の指定配食サービス業者に認可されると、利用者は補助金を受けられるので、定価よりもリーズナブルに配食サービスを利用することができるのです。

藁品オーナー
行政によって異なりますが、焼津市は定価の6割くらいを負担してもらえるんです。加盟を検討している方は、『××市 配食サービス』などで検索してみるといいかもしれませんね。

行政の後押しにより、配食数を爆発的に増やした「ライフデリ焼津店」。その後も右肩上がりに食数を増やし続けているといいます。とはいえ、現状は急激な受注増に対応するのに必死で、ほぼ営業活動ができていない状態。いったい、どのようにして増やしているのでしょうか。

藁品オーナー
正直、6月くらいから新規の営業ができてないんですけど、親しくさせてもらってるケアマネさんが紹介してくださるんですよ。あとは、ライフデリの弁当はおいしくて安いと評判なので、口コミなどで競合他社から乗り換えて注文していただく利用者さんもかなり多いですね。オープンする前に予想していたよりも、需要はかなりあると実感しています。

配食数を底上げしているのは、ライフデリのお弁当が安くておいしいだけではありません。高齢者配食サービスには人と人との関わりや思いやりを大切にすることが、最も重要なポイントだというのです。

藁品オーナー
おいしいと評判とはいえ、競合の配食サービスとそこまで差のあるものではないんですよ。そうなると、いかに付加価値を感じてもらえるかが勝負になってくるんです。たとえば、足の悪い利用者さんには、許可を得た上で家の中まで入り、テーブルにお弁当を並べるところまでしてあげる。常に気遣いを心がけて行動し、頼まれれば基本的にNOとは言わず、可能な限り寄り添うといったやり方に付加価値を感じていただいています。もちろん自分だけが気をつけるのではなく、他のスタッフにも同じようにお客さまに寄り添うように言っています。

今後はエリアを拡大することも検討しているという藁品オーナー。3年で1万食を目指し、その後は異なる飲食業態でのチャレンジも見据えています。地域社会に貢献することはもちろん、自身のさらなる夢を叶えるために走り続けます。