リクルートの営業として働いているなかで「独立」を意識
そう語るのは、高齢者配食サービスの「ライフデリ」を運営する株式会社グランフーズの小川雄一郎代表取締役。同業種のFCに加盟していたときに感じたことや悩みをもとに、自身で新たな高齢者向け配食事業を立ち上げ、170店舗をフランチャイズ展開するまでに拡大させました。今後ますます需要が拡大する高齢者向けビジネスの中でも、加盟金や保証金だけでなく、月々のロイヤリティも0円という加盟店に寄り添ったシステムにより、注目を集めているフランチャイズチェーンのひとつです。
今でこそグランフーズの代表を務める小川社長ですが、大学卒業後は、飲食とは程遠いIT系の企業でシステムエンジニアとして勤めていました。しかし、入社したのは超大手の企業。大きなプロジェクトの歯車のひとつとして働くことに違和感を覚え、1年半で退職。その後に入社したのは、大手の広告代理店として名を馳せる「リクルート」だったのです。
今後のキャリアに活かしたい一心で営業に勤しむ小川社長ですが、いつの日か「独立」というものを意識するようになるのです。
とはいえ、それまで実際に経営に携わった経験がなかったことから、いきなりオリジナルの事業で独立するにはリスクが高すぎる——そう考え、飲食系フランチャイズでの独立に向けて一歩を踏み出すのです。
市場の将来性を感じて高齢者向け配食サービスのFCに加盟
いまから13年前、当時26歳にして「独立」を果たした小川社長は、当時の事をこう振り返ります。
仕事に大きなやりがいを感じるとともに、順調に売り上げを伸ばしていった小川社長。しかし、そんな状態が長く続くことはなく……。事業が順調に進むのとは裏腹に、加盟から年月が経つにつれて本部に対する疑問や窮屈さを感じるようになるのです。
本部に対する疑問や窮屈さを感じ、フランチャイズを脱退
「ビジネスモデルは申し分ないのに、これでは、加盟店からむしり取ってるだけじゃないか」――そう考え、当時加盟していたフランチャイズ本部と「決別」するという道を選択。その後、一念発起して2004年に立ち上げたのが「株式会社グランフーズ」なのです。
グランフーズの営業開始後、契約してくれる工場や食材の仕入先を自ら探し、どうにか高齢者への配食事業を運営できる状態に持っていった小川社長。それと同時に、介護施設へ食材を供給する卸売業も展開するなど、会社を拡大していくのです。
これまでの経験を総動員して2012年にフランチャイズ展開をスタートさせた高齢者配食サービス「ライフデリ」。もちろん、小川社長が加盟店時代に感じていた本部への疑問や窮屈さをなくした。
関わるすべての人が幸せになる仕組みづくりを目指す
中には、加盟金や保証金などを高額に設定し、そこで大きな利益を上げるフランチャイズ本部があることも事実。しかし「ライフデリ」では、加盟金や保証金はもちろん、月々のロイヤリティも0円なのです。
また、開業資金が低く、加盟者だけが金銭的なメリットを得られるわけではありません。配食サービスを利用する高齢者にとっても安く利用できるのが、ライフデリの強みでもあるのです。
ただ、それでは事業として成り立たないのでは?——そう心配する声も少なくないはずです。加盟金などで利益を上げることもなければ、競合と比較しても1食あたりのコストが安い。そのうえ、素材や献立にこだわったクオリティの高い弁当を利用者に提供できているのは、いったいなぜなのでしょうか。
SVがいないとはいえ、本部と加盟店がコミュニケーションを取っていないわけではありません。ライフデリでは、オンラインでやり取りできる独自の「掲示板」を開発し、加盟店と本部がなんでも言い合える場を設置。これにより、普段抱いている疑問をすぐに解決したり、本部に対して意見や提案をしたりすることができるのです。
加盟者やお客様だけでなく、本部、メーカー、生産者などの「関わるすべての人が幸せになる仕組みづくり」をコンセプトに事業展開を進める小川社長。今後も加盟者はもちろん、利用者にも寄り添った高齢者配食サービスとして、スピードを緩めることなく成長し続けます。